蒸し暑い日が続きますね。
先日、これまで関わりのない某大手出版社から封書をもらいました。
中には、丁寧な手紙。
字も美しく、とても丁寧な文章なんですが、最後まで読んでも
さっぱり用件がわからない。
どういう経緯で、僕に封書を送ってきたのか。
僕のことを、どの程度知っているのか。
そして、僕に何をして欲しいのか。
「謹啓 益々ご清栄のことと云々〜〜
出版をお手伝いさせて頂きたく〜〜ご挨拶させて頂けますと幸いです」
これでは、商業出版の執筆依頼を考えているのか、
一企業の経営者に自費出版をすすめているのか、
単に「こんにちはー」と言いたいのか、
どうとでも受け取れてしまいます。
せめて『○○の件について』と表題をつけてくれればよかったのに。
プレゼン、スピーチや自己紹介でも、これと似た現象があります。
話し手が、言葉につまることもなくスラスラしゃべっていて、
この人話すのがうまいな〜と思ったのに、
振り返ると全然話の内容を覚えてないこと、ありませんか?
あんまり「立て板に水」なので、かえってメリハリがないんです。
話し手は、丁寧な言い回しと淀みない流れに安心してしまい、
聞き手も何となく話がうまい気がして聞き流してしまう現象。
話にも、タイトルが必要なんです。
聞き手の興味をぐっとひきつけるための、上手なタイトルが。
タイトルとは、これから自分はこんな話をするよ、と宣言すること。
例えば、こんな風に。
【タイトル無し】
先日、東京に行った折に恵比寿ガーデンプレイスに立ち寄ったところ…
【タイトル有り】
この前、すごいものを見たんです!恵比寿ガーデンプレイスで。それは…
自己紹介などでは特にそうですが、後半はあまり覚えていないもの。
しかし、パートごとに「タイトル」を宣言すると、記憶が整理され
内容も理解しやすく、印象にも残りやすくなります。
本当にいい話し手というのは、聞き手のことを考えています。
たださらさらとしゃべれるだけの人の話は、心にとどかず、記憶に残りません。
環境音楽みたいなものです。
自分がうまく話すことではなく、相手に伝えることを大事に。
ベストスピーカーの常識です。
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