2014年01月11日

言葉選びは真剣勝負(後編)

前回は…

Aさん・BさんがC子さんを紅葉見物に誘う4つのセリフが、
間の「だから」と「でも」でニュアンスが違って聞こえる、という話をしました。
今日は、その解説です。

なんとなく感じる微妙な違い…これを解くカギは『言外暗示』。

Aさんの1文目「嵐山に行った」には、行ったうえで人を誘うので
「嵐山はとてもいいところだよ。」というメッセージを
聞き手は無意識に感じています。

同様に、Bさんの「嵐山に行ったことがない」には
「僕は嵐山がどんなところか知らないけれど。」という
Bさんの気持ちを、聞き手は背景に感じ取っています。

それを2文目冒頭で、「だから」と順接で受けるか、
「でも」と逆説で受けるかによって、言葉のニュアンス――
背後に隠れた感情をどう想像させるか――が違ってくるのです。


A−1
「去年、嵐山の紅葉を見にいったんだ。
 (とてもいいところだよ。)
 だから、今年は君と一緒に行きたいな。」

嵐山がよかったことを順接で受けるので、後半は
「嵐山に行きたい」ということが強調されます。
「君と紅葉を見ながら、酒を飲んだら楽しいだろう」と
C子さんをよき友人と思っているのか
「とてもきれいな秋の嵐山を、君にも見せてあげたい」と
特別な好意を持っているのか、どちらかはっきりしません。


A−2
「去年、嵐山の紅葉を見にいったんだ。
 (とてもいいところだよ。)
 でも、今年は君と一緒に行きたいな。」

この「でも」によって強調されるのは、「君と」の部分。
嵐山の紅葉はとてもきれいだった。でも、君と一緒じゃなかった。
僕は、他の誰でもなく君と一緒に行きたいんだ。
Aさんにとって、C子さんは特別な存在だとわかります。


B−1
「嵐山って、僕はまだ行ったことがないんだ。
 (どんなところか、わからない。)
 だから、君と一緒に行きたいな。」

行ってみたことがない嵐山に行きたい、ということが
強く感じられるセリフです。
BさんにとってC子さんは、一緒に知らない場所に行って
ワクワクするような気の合う相手、あるいは
知らない土地で頼りになる人、という受取り方もできます。


B−2
「嵐山って、僕はまだ行ったことがないんだ。
 (どんなところか、わからない。)
 でも、君と一緒に行きたいな。」

いいところかどうかわからない、でも君と行きたい、と
一緒に行く相手が重要だと感じさせます。
Bさんにとって、C子さんは一緒にいて居心地のいい人だと
いうことがわかるセリフです。


行ったことがあるにせよ、ないにせよ、普通ならたいていの人が
深く考えずに「だから」を選択して言うのではないでしょうか?
もしかしたら「君と」の部分さえ省略して
「一緒に嵐山に行きたいな。」だけかもしれませんね。

言葉の選び方ひとつで、行間にいろんなメッセージを込められるのに
それではとてももったいない。
言葉の選び方について、もっと真剣に考えてほしい。


どうすれば、自分の気持ちを表すのにピッタリの言葉が選べるか――

それは、あなたが話す時に、自分の言いたいこと・重要な部分・
強調したいところについて、意識するクセをつけることです。
話している最中でも、言いたいポイントを意識して頭をフル回転させると
これまでの経験からベストの言葉を選択できるはず。
(もちろん、人との会話や読書で表現の幅を広げることも大切です!)

この言い方だと、相手にどう伝わるか?
真剣に、頭を働かせて話をしましょう。


さて。
Aさん・Bさんから嵐山に誘われたC子さんの回答。

1.私、嵐山に行ったことがないの。だから、行きたいわ。
2.私、嵐山に行ったことがないの。だから、行きたくないわ。
3.私、嵐山に行ったことがないの。でも、行きたいわ。
4.私、嵐山に行ったことがないの。でも、行きたくないわ。


彼女の気持ちを、行間から読み取ってみて下さい!
「だから」と「でも」で、こんなに違う。

言葉って、おもしろい!!
【話し方の最新記事】
posted by パブリックスピーキング・トレーナー高津和彦 at 00:00| 話し方

■話し方セミナー / 【ベストスピーカー】 1日集中の少人数制講座/個人レッスン  東京・大阪・名古屋

■プレゼンテーションセミナー / 【ベストプレゼン】1日集中少人数制講座 東京・大阪・名古屋